第17回人文学の挑戦×北海道みらい事業

「アイヌ文化と森―人々と森の関わり―」

最近、わたしたちは、仲間とともに一冊の小さな本を出版しました。
「アイヌ文化と森」というのがそのタイトルなのですが、この本は、これまでアイヌ文化について紹介された書籍とはすこしちがっています。 ただ単に器物の素材としての木材について紹介したり、食べ物を得るための森あるいは神々が住まう森として取り上げるだけではなく、もうすこしひろい視点から「森」というものを眺めてみました。 くわしくは本を手にっていただければよいのですが、ユカなど口承のなかで森はどのように描かれているのか伝承を探る一方、地理的にも千島列島やシベリアまでひろげてみました。 鬱蒼と茂る森がない千島列島に暮らした人びとはどのようにして樹木を手に入れていたのでしょうか。また、視点をお隣の東シベリアにまでひろげて「巨視的な」立場から そこで暮らす人びとと森との関係もとりあげています。
今回は、このなかから3人の著者が、それぞれ道具の利用と森(出利葉浩司)、さまざまな植物と人びと(内田祐一)、そして千島列島国際調査に参加した成果を踏まえて、 千島列島の人びとと木の利用について(手塚薫)、お話します。 さらに、東北以北ではじめてとなる国立博物館として、2020年の開館をめざして白老に建設中のアイヌ民族博物館の準備状況についても、国立博物館設立準備室の内田調査官がご紹介します。 この博物館は周辺の自然環境をいかした国立民族共生公園との一体的な活用が期待されています。

日時 2018年10月7日(日)15:00~16:30
場所 紀伊國屋書店札幌本店1Fインナーガーデン
講師 手塚薫(北海学園大学人文学部教授)
出利葉浩司(北海学園大学人文学部客員研究員)
内田祐一(文化庁文化財部伝統文化課アイヌ文化振興調査官)
「アイヌ文化と森―人々と森の関わり―」