人文学部開設30周年記念シンポジウム

新人文主義のフロンティア―「耕すこと」と「食べること」から考える人文学の可能性―

北海学園大学人文学部は、北の大地における新しい人文学の創成をめざして、すなわち、北海道というフロンティアで〈新人文主義〉を教育と研究において実践するために、1993年に開設されました。〈新人文主義〉とは、ヨーロッパに由来する〈人文主義〉の優れた遺産を受け継ぎつつも、そこに含まれる西洋中心主義や人間中心主義という問題を見据え、人間が人間であることの意味を考えようとするものです。学部開設30周年を迎えたいま、人間が人間であることの意味を考える〈新人文主義〉にどのような課題があり、どのような可能性があるのかを、改めて検討したいと思います。そこで、20世紀の農と食についての歴史研究を中心に、人間らしさを解きほぐす、柔らかくも力強い研究成果を次々と発表されている藤原辰史さんを講師に迎え、文化的な営みの原型と見なされてきた「耕すこと」と、人間が生きるために欠くことのできない「食べること」について考えることを通して、人間が人間であるために人文学は何ができるのかを、会場のみなさんとともに議論します。

プログラム

  • 13:20 〜 13:30 開会挨拶・趣旨説明
  • 13:30 ~ 14:30 基調講演
  • 14:30 ~ 15:00 発題①
  • 15:00 ~ 15:30 発題②
  • 15:30 ~ 15:45 休憩
  • 15:45 ~ 16:45 質疑応答

基調講演

「食と農の人文学―人間を深く考えるための人間中心主義批判―」
藤原辰史氏(京都大学人文科学研究所・准教授)
〈プロフィール紹介〉
1976年旭川市生まれ、島根県横田町(現奥出雲町)出身。京都大学人文科学研究所助手、東京大学農学生命科学研究科講師を経て、現職。専門は農業史と環境史。
著書に、『ナチス・ドイツの有機農業――「自然との共生」が生んだ「民族の絶滅」』(柏書房、2005年、第1回日本ドイツ学会奨励賞)、『ナチスのキッチン――「食べること」の環境史』(水声社→決定版=共和国、2012年→2016年、第1回河合隼雄学芸賞)、『給食の歴史』(岩波新書、2018年、第10回辻静雄食文化賞)、『分解の哲学――腐敗と発酵をめぐる思考』(青土社、2019年、第41回 サントリー学芸賞)、『縁食論――孤食と共食のあいだ』(ミシマ社、2019年)、『農の原理の史的研究――「農学栄えて農業亡ぶ」再考』(創元社、2020年)、『植物考』(生きのびるブックス、2022年)など多数。2019年には第15回日本学術振興会賞を受賞。
今回の北海学園大学人文学部開設30周年記念シンポジウムでは、『分解の哲学』で展開された、私たちの生を取り囲む分解者たちについての思索をもとに、食の工業化が人間の生に問いかける問題までも視野に入れたお話をいただきます。

発題①

「アフリカの農から考える人文学」
小松かおり(北海学園大学人文学部英米文化学科・教授)
〈概要〉
現代のグローバル化した農業では、自然を極限まで標準化してコントロールすることが当たり前です。しかし、家族と地元のために営む農では、作物は多様であることが価値であり、畑は周囲の自然に対して開放されています。アフリカ熱帯雨林の畑地や作物との向き合い方を通して、農における人間性について考えます。

発題②

「食の日本近代史―「自分」を「主語」とした人文学の試み―」
郡司淳(北海学園大学人文学部日本文化学科・教授)
〈概要〉
食をめぐる人と人の関係を都市と軍隊を場として素描します。その上で、絶滅収容所における人間性回復の過程や、沖縄戦で自分の食糧を子どもに分け与えたアイヌ兵、兵が学童の弁当を奪った「形而上的な罪」(K.ヤスパース)を負って戦後を生きた下士官の営みなどを検証することで、人が人として生きるとは何かを問いたいと思います。

日時 2023年9月30日 13時20分〜16時45分
場所 北海学園大学8号館4階 B41教室
主催 北海学園大学人文学部
共催 北海学園大学大学院文学研究科・北海学園大学人文学会
参加費 無料
予約 不要
お問合わせ 北海学園大学人文学部
011-841-1161(代表)
jinbun@hgu.jp
新人文主義のフロンティア―「耕すこと」と「食べること」から考える人文学の可能性―